よくTVなどで「睡眠負債」という言葉を聞くようになりました。
睡眠負債とは、睡眠不足の弊害が借金のように積み重なっていく事で、ゆくゆくは命の危険につながってしまうことも最近の研究で明らかになってきています。
というのも睡眠不足は、がんや糖尿病、心臓病といった重大疾病との強い関連性が指摘されているんです。
自分はちゃんと睡眠をとっているから大丈夫と思っていても、知らぬ間に陥っている可能性がある睡眠負債。
今回はその概要や対策をご紹介します。
8時間は睡眠が必要
具体的に、睡眠時間が何時間以下だと睡眠不足になるのでしょうか。
専門家たちが様々な研究を行った結果、成人の場合、睡眠時間が7~7.5時間よりも少ないと睡眠不足にあたると言われているようです。
なので、睡眠不足にならないためには毎日8時間の睡眠が必要。
ただ、適正睡眠時間には個人差があるので、別の目安ももうけておきましょう。
成人の脳は、起きてから4時間後が最も活性化して集中力が高くなる時間なので、もしその時間に眠気を感じるようでしたら睡眠が足りないサインです。こちらも睡眠不足の目安にしてみるといいでしょう。
代表的な睡眠負債のリスク
◆肥満
睡眠時間が短いと、満腹ホルモンが減り空腹ホルモンが増えるので、食欲が増し太りやい体になってしまいます。
また空腹ホルモンの分泌量が多いと、高脂肪・高カロリー食を好むようになるので要注意です。
◆アルツハイマー
人間の体には様々な老廃物が溜まります。
本来は、リンパが全身の老廃物を排出してくれるのですが、脳にはリンパがありません。
代わりに脳脊髄液が脳内の老廃物を排出してくれるのですが、この脳脊髄液は寝ている間しか働かないんです。
なので、睡眠時間が短いと、アミロイドβと呼ばれる脳内の老廃物をちゃんと排出することができません。
このアミロイドβが脳に蓄積する事により、アルツハイマーの引き金になってしまうと言われています。
◆がんや糖尿病、心臓病などといった重大疾病
睡眠不足は、高血圧や動脈硬化にも繋がるので、心臓の負担がかかり、結果、心臓病のリスクが増すと言われています。
また、イギリスのBBCニュースが行った実験では、1日7時間半睡眠をとっていた人達に、1日の睡眠時間を1時間削ってもらい経過をみたところ、がんや糖尿病に関わる遺伝子が活発になっていたという結果が出ています。
負債を解消するために
負債は返済すればいいから休みの日に「寝だめ」をしよう、と思いがちですが、これは日常の生活リズムを崩し逆効果になる場合があります。
なので、可能であれば1日7.5~8時間の睡眠をとる生活リズムを維持するのがベスト。
しかし、残業や接待など、個人の環境によっては適正睡眠をちゃんと確保できるとは限りませんよね。
そんな時は、睡眠の先行投資をしてみましょう。
◆パワーナップ
パワーナップとは15~20分くらいの短い昼寝のことで、仕事の効率を上げたり、病気のリスクを低下せるメリットもあると言われています。
NASAでもパワーナップの研究が行われていて、仕事の効率が34%、注意力が54%アップしたという結果が出ているんです。
なので、アメリカでは海兵隊のパトロール前に義務付けられたり、日本でもGMOインターネットグループやヤフーなど、「お昼寝スペース」を設けています。
横になるのが1番良いですが、職場の環境によって難しい場合もあるので、椅子に座ったままでも大丈夫です。
大事なのはリラックスして寝ること。
昼寝すると20分以上寝てしまうという方は、昼寝の前にコーヒーを飲むと、ちょうど20分後ぐらいに覚醒効果が効いてくるのでオススメです。
睡眠時間だけでなく睡眠の質も大事
上記したパワーナップ以外にも、普段から睡眠の質を上げておくのも良いでしょう。
そのために、残業で遅くなった夜の食事は軽いもので済ませる、寝る前特有の習慣をつくるなどすると効果的。
後者は、激しく体を動かしたり脳が興奮状態にならないものであればなんでもいいです。
軽いストレッチをする、静かな曲を聴く、読書をするなど。
そういった寝る前特有の習慣を行う事で、「これから寝るんだな」と脳と体が眠る準備をするようになり寝付きが良くなるので、ぜひ試してみてください。