先日、DeNAの井納選手の奥さんがインターネットの匿名掲示板で誹謗中傷を受け、書き込んだ20代OLに200万円の損害賠償を請求したというニュースを知っていますか?
井納選手は、自分の妻が匿名掲示板で誹謗中傷を浴びている事態を受け、弁護士を通じ書き込みが誰によるものか掲示板管理者に問い合わせ、書き込みした女性が使っているプロバイダーに個人情報の公開を求めたというものです。
SNSや掲示板などで、誹謗中傷やそれに近い書き込みを見かける事が珍しくはない現在、一般のネットユーザーに多額の損害賠償請求が行われた事で、TVのニュース番組でも取り上げられ話題になっています。
そこで今回は、SNSや掲示板などに書き込みをする際、どのような言動に気を付けるべきなのかをご紹介します。
問題になりやすい事例
日本の憲法では「表現の自由」が保障されています。
しかし、いくら表現の自由があるとはいえ、それが他者の人格や利益を侵害するのは認められません。
ネット上では特にこのバランスが難しく、何がセーフで何がアウトかという境界線が弁護士さんによっても判断がまちまちなのが現状です。
なので、ここでは問題になりやすい事例を4つ挙げてみます。
◆名誉毀損
名誉毀損とは、「不特定多数が認識できる状況下で、個人の社会的評価を低下させうる事実を告げて、個人の社会的評価を低下させる危険を生じさせること」をいいます。
典型的な名誉毀損としては、嘘の事実を提示して対象をおとしめる行為です。
具体例としては
・○○は会社のお金を使いこんでいる
・○○は過去に万引きをしたことがある
・○○は不倫をしている
などの書き込みです。
◆侮辱罪
侮辱罪とは、「事実なしでも、公然と人を侮辱すること」をいいます。
名誉毀損と侮辱罪の違いは、事実を示すか示さないかという点です。
・○○は馬鹿だ
・○○はブスだ
・○○はクサい
などの書き込みが例として挙げられます。
◆業務妨害罪・信用毀損罪
業務妨害罪・信用毀損罪ともに、虚偽の情報や噂などを流して、他人の信用や営業行為を侵害するものです。
具体的には
・○○で買った食品に異物が入っていた
といった書き込みがそれにあたります。
◆プライバシーの侵害
プライバシーの侵害とは、「私生活上の事実で、一般人が第三者に公開しないでほしい事実かつ、一般に人々にまだ知られていない事実を公表すること」をいいます。
具体的には、無断で第三者の本名や住所といった個人情報を公開することがそれにあたります。
ネットモラルを再認識
インターネットは匿名性が強いので、上記のような言動を意図的に行う人もいます。
しかし、そのような人はよく見かけるし自分の素性が分からないからいいだろうと、軽い気持ちで誹謗中傷や名誉毀損にあたる書き込みをしてしまうと、大事になってしまう危険性があることが、今回の井納選手の一件から分かったと思います。
また、今回のような訴訟は過去にも何件か発生しているので決して珍しい事ではありません。
スマホ1つで誰とでも気軽に繋がることができるインターネットですが、その利便性の反面、大きな危険性も潜んでいるということを今一度、認識しておくべきではないでしょうか。